不整脈とは
心臓の収縮と拡張に関係する電気信号に異常が起こることで、心拍数や拍動のリズムが狂ってしまう状態のことを不整脈と呼んでいます。放置しても大きな問題にならないこともありますが、中には早急な治療を要するものもあるため、一度検査をしていただくことをおすすめします。また、健康な方でも不整脈を起こすこともありますので、まずは当院へご相談いただければと思います。
不整脈の原因
心不全、心臓弁膜症、冠動脈疾患、先天性心疾患などの基礎疾患を持っている患者様は不整脈を起こすことが多いと言われています。また、生活習慣病や肥満、睡眠時無呼吸症候群が原因となり不整脈を起こすこともあります。生活習慣においては、飲酒・喫煙、カフェインの過剰摂取、疲労、睡眠不足、ストレス、自律神経の乱れなどに注意が必要です。また、熱い湯船につかった後に不整脈を起こすこともあります。
不整脈の種類
徐脈（ゆっくり）、頻脈（早い）、期外収縮（不規則なリズム）の3つに分けられます。
徐脈
脈拍が1分間に50回以下の状態を徐脈と呼びます。心臓に電気信号を送る場所にトラブルが起こり正常に信号を送ることができない、電気信号の通り道（伝導路）にトラブルが生じて信号が伝わらないといったことなどが徐脈の原因となります。
頻脈
脈拍が1分間に100回以上の状態を頻脈と呼びます。運動や興奮状態が原因の場合は大きな問題とはなりませんが、安静時に頻脈になっている場合は注意が必要です。心臓へ電気信号が過剰に送られてしまう、電気信号の通り道（伝導路）にトラブルが生じて空回りすることなどが頻脈の原因となります。
脈が飛ぶ・抜けるなどの期外収縮
拍動のリズムが不規則となる状態のことです。イレギュラーな場所から心臓へ電気信号が送られることなどが原因となり、脈拍が多くなる、飛ぶといった症状が現れます。また、無症状で期外収縮による心拍数や拍動リズムの乱れが続くと、心疾患の発症リスクが上昇し、最悪の場合は命に関わる事態になりますので、注意が必要です。
不整脈の症状
不整脈は自覚症状に乏しく、検査によってはじめて判明する方も多くいらっしゃいます。自覚症状がある場合、徐脈ではめまいやふらつき、意識障害、頻脈では動悸や息切れ、期外収縮では脈が飛んだことを感じるといった症状が起こり、その他、胸痛や胸部の不快感といった症状が現れることがあります。
代表的な症状
頻脈
動悸、息切れ、ドキドキして拍動が強くなるといった症状があり、脈拍が速すぎるとめまい、冷や汗、意識消失が起こることもあります。
徐脈
めまいやふらつき、直ぐに息切れする、体が重いといった症状が起こり、意識消失に繋がることもあります。
期外収縮
自動血圧計がエラーで測定できない場合、期外収縮が原因の可能性があります。自覚症状はあまりありませんが、脈が飛んだことを自覚できることがあります。また、稀に胸痛や胸部の不快感といった症状が現れることもあります。
不整脈の検査
安静時12誘導心電図検査、ホルター心電図、運動負荷心電図、心臓超音波検査、胸部X線検査などで不整脈の原因を調べます。
不整脈の治療
主に、不整脈の発生抑制、脈拍の制御をするために、薬物療法を実施していきます。薬物療法でも改善が見られない場合は、カテーテルアブレーションによって根治を目指すこともあります。なお、命に関わるような緊急度の高い病状であれば、植込み型除細動器やペースメーカーを導入するために外科手術を行うこともあります。
徐脈性不整脈の治療(ペースメーカー治療)
規則正しい電気信号を心臓に与えて徐脈を改善するために、人工ペースメーカーという電線と電池を体内に入れる治療です。ほとんどの場合、日常生活に支障が出ることはありませんので、ご安心いただければと思います。
頻脈性不整脈の治療
患者様の状態に合わせて、抗不整脈薬や血栓を作らないようにする薬を使った薬物療法を行います。その他、足の血管から心臓へ向けてカテーテルを挿入して高周波を流すことで、異常な電気信号が発生しないようにする高周波カテーテルアブレーション治療を実施することもあります。
これらの治療を実施することが難しい場合や命に関わるような深刻な病状の場合は、ICD(植込み型除細動器)治療によって頻脈を電気的除細動でストップさせることを検討します。
AED(自動体外式除細動器)について
AEDとは、心室細動といった命に関わるような不整脈を起こした方に対して、電気ショックで心機能の蘇生を測る装置のことです。AEDの使用方法は分かりやすく図解されていますので、はじめて使う方でも安心していただけるかと思います。また、最近ではマラソン大会で倒れた方にAEDを使用した事例がニュースになったり、公共施設でも設置されるところが増えてきています。自治体によってはAEDの使い方講習を実施しているところもありますので、ご自身やご家族が不整脈となっている方は一度講習会で使い方を学んでおくと良いかと思います。